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秋田港(秋田市)近くの船舶向け食品販売会社の軒先に置かれた、レトロなうどんの自動販売機が、第二の人生を歩むことになった。3月末で役目を終える予定だったが、常連客に加えテレビ番組をきっかけに増えた新たなファンの後押しで、4月初めに現在の場所から約150メートルの道の駅に引っ越す。
1958年創業の佐原商店が71年に自販機を設置し、地元の人や通勤客が朝晩利用してきた。昨年、NHKのドキュメンタリー番組に取り上げられたのを機に、隠れた名所になり、大阪など遠方から来る客も増加。200円を投入すると約20秒で出てくる温かいうどんが、250食以上売れる日もあった。
佐原孝夫社長(73)が高齢を理由に3月末での廃業を決めると、別れを惜しむ客が押し寄せ、24時間営業の自販機は、頻繁にお湯切れを起こしながらも動き続けた。
自販機を譲ってほしいとの依頼も多数寄せられ、佐原社長は「港は思い出が詰まった場所。またお客さんに喜んでもらえたらうれしい」と、近くの道の駅に任せることにした。